食物アレルギー
典型的な症状は、原因となる食物を食べて1時間以内に顔を中心とした発赤や腫脹、蕁麻疹様の発疹が出現します。発疹は痒みを伴い、全身に拡がったり、咳などの呼吸器症状、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状を伴うこともあります。
以前はアレルギー食品を除去するのが治療の原則でしたが、最近は軽い症状ならアレルギーを起こす食品を少量から開始して徐々に増やしていく方法でアレルギーが改善することが知られるようになりました。離乳食もいろいろな食品を早期に進めていくことにより食物アレルギーを予防できるとされています。
食物アレルギーを疑われる症状が出たら、写真を取っておくと診察時に役に立ちます。
当院では、発症時の状況、症状、血液検査にて診断しています。診断が難しい場合や重症なアレルギー、経口負荷試験が必要な場合は専門医を紹介いたします。
喘息様気管支炎、気管支喘息
乳幼児はウイルス性の風邪により細気管支炎を起こし喘息を似た症状となることがあります。内服薬や吸入による治療をしながら、気管支喘息かどうか経過を見なければ診断がつかないこともあります。
以前はひどい喘息発作により入院が必要な児が多くいましたが、今は治療の進歩により重症な喘息の児は少なくなりました。
気管支喘息とは、空気の通り道である気管支にアレルギー反応が起こり、炎症によって過敏になった気道が狭くなることで、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難、夜間の咳などの症状を繰り返す病気です。これらの症状は「喘息発作」と呼ばれ、特に明け方や天候の変化、風邪をひいたときなどに起こりやすくなります。
乳児期にはライノウイルスやRSウイルスなどの風邪ウイルスに繰り返し感染することで、気道が過敏になり、喘息を発症しやすくなることが知られています。手洗いや換気といった基本的な感染予防が、喘息予防にもつながります。喘息は、1歳前後から始まることもあり、繰り返す咳、ゼーゼーとした呼吸、不機嫌、抱っこでしか眠れないといった様子で現れることがあります。小学生では約7〜10%、中学生では5〜10%程度の子どもが喘息を抱えているといわれています。
一方、「喘息様気管支炎」は、喘息とよく似た症状(ゼーゼー、咳、呼吸困難など)を一時的に起こす疾患で、特に乳幼児に多くみられます。ウイルス感染がきっかけで起こることが多く、気管支が狭くなって喘息に似た発作を引き起こしますが、多くは年齢とともに自然におさまる傾向があります。ただし、喘息の前段階である場合もあり、繰り返す場合には注意が必要です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみの強い湿疹を主症状として、良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返す皮膚の炎症疾患です。乳児では頬を中心とした顔や頭がカサカサして赤くなり、幼児では目や耳の周り、首、ひざやひじの内側など特徴的な部位に皮疹が現れます。生後4か月から2歳までに発症して小学校卒業ぐらいまでに治ることが多いですが、小学校入学後や大人になってから発症することもあります。
原因としては、皮膚の乾燥やバリア機能の低下により、皮膚の表面に隙間ができ、そこから様々な細菌や刺激物質、アレルゲンなどが入りやすくなって炎症が起こると考えられています。また近年、食べ物との密接な関連性があることもわかってきました。とくに生後6か月未満では、かゆみのある湿疹が強いほど食物アレルギーの発症率が高いことがわかっています。汗や空気の乾燥などが影響することもあります。また、季節性もあり、夏場に悪化する子もいれば、冬場に悪化する子もいます。
従来のステロイドによる治療の他に最近は免疫を抑える軟膏も開発され、治療方法が多くなってきています。
保湿剤等によるスキンケアも大事です。
痒みを抑える内服薬の他に注射薬もでてきました。
花粉症を含むアレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎・結膜炎は、喘息やアトピー性皮膚炎などに合併することの多い疾患です。主な原因は、ダニ、ハウスダスト、花粉(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ハンノキなど)、ペット類(ネコやイヌの抜け毛やフケ)などです。アレルギー性鼻炎は、鼻や目のつらい症状のみならず、鼻が詰まって口呼吸になり、風邪をひきやすくなったり、放置すると副鼻腔炎(蓄膿)を起こしたりすることもあります。不快な症状から学習や睡眠に支障をきたし生活の質を落としてしまうこともあります。
花粉症は近年非常に多くなってきており、発症が低年齢化しています。保育園などに通いはじめて間もないお子さんの鼻水は、ほとんどが風邪によるものですが、ある程度集団生活を経験した後でも透明な鼻水が止まらない、鼻がつまる、鼻血をよく出す、くしゃみが多いなどの症状があればアレルギー性鼻炎が疑われます。最近では2歳前からでも花粉症やダニアレルギーがみられることもあり、幼児期から適切な対応が望まれます。
花粉の時期の前から抗アレルギー薬を服用することが有効です。
重症の場合は舌下療法も勧められます。
蕁麻疹
皮膚の一部が突然くっきりと赤く盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡形もなくかゆみと皮疹が消えるという特徴があります。たいていかゆみを伴いますが、チクチクとした感じや焼けるような感じになることもあります。
食物アレルギーにより発症することもありますが、原因が不明のことが多いです。
風邪気味で体調が悪い、疲れ、ストレス等が引き金となります。一旦出現すると4~5日間出たり消えたり繰り返すことが多いです。
発症して6週間以内を「急性じんましん」、それ以上経過した場合を「慢性じんましん」と呼びます。
治療は、まず原因や悪化因子を探して、それらを取り除く、または避けるようにすることです。アレルギーが原因であれば、原因アレルゲンや刺激を回避します。薬物治療は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの飲み薬や塗り薬が中心となります。